【4月26日 AFP】中国の競泳選手23人がドーピング検査で陽性となりながら不問に付されていた問題で、世界反ドーピング機関(WADA)は25日、この件の対応に関して第三者に評価を依頼した。また、中国反ドーピング機関(CHINADA)が取り組んでいる「反ドーピングプログラムの現状を評価する」目的で、同国に「コンプライアンス監査団」を派遣するという。

 中国の23選手については前週、2021年東京五輪前の検査で禁止薬物のトリメタジジン(Trimetazidine)に陽性反応を示しながらも、食品汚染が原因だったとする中国側の説明をWADAが受け入れたため、処分が科されなかったと報じられた。トリメタジジンは狭心症の処方薬だが、運動能力を向上させる作用がある。

 WADAはこの報道以降、米国反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)最高経営責任者(CEO)から「隠蔽(いんぺい)の可能性」を指摘されるなど、厳しい批判の声に直面。そうした状況を受け、この件の対応について、元スイス検察のエリック・コティエ(Eric Cottier)氏に調査を依頼したと発表した。

 コティエ氏は、この件に関する全てのファイルや書類に「完全かつ自由」にアクセスする権限が与えられるほか、同氏が適切とみなす独立専門家への自由な相談も可能であるという。 
 
 その上で、WADAがこの件を処理する際に、中国に何らかの偏見や「不当な干渉あるいはその他の不適切事項」があったかどうか、再評価するよう依頼されている。また、食品汚染が原因であるというCHINADAの結論に対し、反論や提訴しなかった決断が適切であったかどうかも判断することになる。調査結果については、2か月以内に公表されるよう求められている。

 また、中国に派遣されるチームには、「より広範囲な反ドーピング組織からの独立監査官」も含まれている。

 中国政府はこの問題に関し、報道は「フェイクニュース」だと主張している。(c)AFP