【5月10日 AFP】米紙ワシントン・ポストは9日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が石油業界の幹部らに大統領選の資金として10億ドル(約1550億円)の寄付を呼び掛け、再選された暁にはジョー・バイデン(Joe Biden)政権が導入した環境規制の撤回を約束したと報じた。

 同紙はフロリダ州にあるトランプ氏の自邸「マーアーラゴ(Mar-a-Lago)」で先月行われたとされる会合について知る匿名の情報筋を引用している。

 トランプ陣営はAFPの取材に対し、記事の内容を肯定も否定もしなかった。広報担当のキャロライン・レビット(Karoline Leavitt)氏は「ジョー・バイデンは過激な環境活動家たちに操られている。彼らは史上最も過激なエネルギー政策によって、買う余裕のない米国人に無理やり電気自動車(EV)を買わせようとしている」と語った。

 一方、バイデン陣営は、トランプ氏は「選挙資金を稼ぐために、労働者家族を大手石油企業に売り渡している」と非難した。

 同紙によると、トランプ氏はバイデン政権が一時凍結している液化天然ガス(LNG)の新たな輸出認可を直ちに再開することを約束した。

 またベンチャー・グローバル(Venture Global)、シェニエール・エナジー(Cheniere Energy)、シェブロン(Chevron)、エクソンモービル(Exxon Mobil)などエネルギー企業約20社の幹部に対し、石油が眠るメキシコ湾(Gulf of Mexico)の鉱区を競売にかけることや、アラスカ北極圏(Alaskan Arctic)の掘削規制を撤廃すると述べたという。

 バイデン政権下で成立した2022年の「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act)」は気候変動対策として、クリーンエネルギー関連事業に約3700億ドル(約57兆5000億円)を支出することを定めている。

 一方、トランプ氏は気候変動の科学的根拠に疑念を投げ掛け、大統領時代、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」から米国を離脱させた。

 バイデン氏は大統領に就任すると即座に、米国をパリ協定へ復帰させた。(c)AFP