【5月8日 AFP】香港終審法院(最高裁)は8日、2019年の大規模なデモの際に作られ、民主化運動の賛歌となった曲「香港に栄光あれ(Glory to Hong Kong)」について、昨年の下級審の判決を覆し、演奏などの全面禁止を命じた。この曲は2020年に施行された国家安全維持法(国安法)によって、すでにほぼ歌われなくなっている。

「香港に栄光あれ」は19年の民主化デモの間に大流行し、匿名のオーケストラによってひそかに録音されるなどした。歌詞の文言には「光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、革命の時代だ)」という民主化デモの主要スローガンが盛り込まれている。

 香港代表が出場するスポーツの国際大会では度々、大会主催者側の勘違いで演奏されることがあり、香港政府はその都度、抗議している。中国の特別行政区である香港には国歌はなく、そうした際には中国国歌「義勇軍行進曲(March of the Volunteers)」を使用している。

 今回の決定により、「香港に栄光あれ」は1997年に香港が英国から中国に返還されて以降、初めて禁止される曲となる。

 中国外務省の林剣(Lin Jian)報道官は同日の定例会見で「当該楽曲の使用や流布を阻止することは、(香港が)国家安全保障における責任を果たすための合法的かつ必要な措置だ」と述べた。

 香港当局はこの曲を演奏した音楽家も標的にしている。中国の伝統的な弦楽器「二胡」でこの曲を2021年と22年に演奏した李解新(Li Jiexin)さん(69)は、4件の「無許可演奏」の罪で1か月間投獄された。(c)AFP