【5月6日 AFP】ウクライナ正教会のイースター(Easter、復活祭)を迎えた5日、ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は首都キーウの聖ソフィア大聖堂(Saint Sophia Cathedral)で撮影されたビデオメッセージを発表した。

 ゼレンスキー氏はトレードマークの略式軍服ではなく、ウクライナの伝統服姿で「神の肩章はウクライナ国旗だと信じている。神が味方してくれれば生は必ず死に打ち勝てる」と述べた。

 大聖堂内には、弾薬箱に描かれた宗教画が展示されていた。

 東部ドネツク(Donetsk)州の前線付近では、秘密の拠点となっている民家でイースターの朝食をとるため、第24自動車化旅団の兵士約40人が集まり、司祭の前に整列していた。

 2年以上にわたる戦闘で疲労の色濃い兵士らは、1時間近く続いた礼拝の後、鶏肉、マッシュポテト、ケーキ、ソーダ飲料の朝食をとった。

 兵士の一人、イーホル・コツコさん(49)は「軍務は日々続くが、今は精神的な安らぎ、高揚の時だ」と語った。

 従軍司祭のロスティスラフ・ビソチャンさん(39)は「戦争では生と死は紙一重だ。それでも、精神からしか得られない内なる強さを持たなければならない」と述べた。部隊に最も必要なものは何かと聞かれると、「弾薬と神だ」と答えた。

 数十キロ南方の小さな村でも、前線でロシア軍と対峙(たいじ)する第59機械化旅団の兵士たちがイースターを祝うため民家の前に集まっていた。

 ミコラ・パニシェンコ司令官(45)は「神が守ってくれているからウクライナはまだ持ちこたえている。世界中がウクライナを支えている。しかし、ここ前線、この塹壕(ざんごう)では、神よりも多くの死が待っているのは確かだ」と話した。

 地平線上では青空に向かって黒煙が立ち上り、そう遠くない場所から砲撃音と腹に響く爆発音が伝わってきた。(c)AFP