【4月30日 AFP】北極圏にあるノルウェー領スバルバル諸島(Svalbard Islands)のホーペン(Hopen)島で、鳥インフルエンザに感染したセイウチの死骸が初めて確認された。研究者が29日、明らかにした。

 ノルウェー北極研究所(Norwegian Polar Institute)のクリスチャン・ライデルセン(Christian Lydersen)氏がAFPに語ったところによると、昨年、同島で見つかったセイウチの死骸をドイツの研究所で調べた結果、鳥インフルエンザにかかっていたことが判明した。同氏は「鳥インフルエンザがセイウチで確認されたのは初めて」だと述べた。

 サンプル量が少なく、H5N1亜型なのか、H5N8亜型なのかの判定は困難だった。

 セイウチは魚介類を主食とするが、時に海鳥を食べることもある。また、鳥インフルエンザに感染したセイウチの死骸をホッキョクグマが食べる危険性もある。米当局によれば、すでにアラスカでホッキョクグマ1頭が鳥インフルエンザで死んでいる。

 セイウチは氷が溶ける夏には集団で行動する傾向があるため、その動向を監視することが重要だとライデルセン氏は述べた。

 南極の研究者らによると、南米では海洋哺乳類数千頭が鳥インフルエンザウイルスで死んでいる。(c)AFP