【4月29日 AFP】イタリアのジョルジャ・メローニ(Giorgia Meloni)首相は28日、6月の欧州議会(European Parliament)選挙に出馬する意向を表明した。自身が党首を務める極右政党「イタリアの同胞(FDI)」の支持率アップを目指す戦術とみられるが、当選しても欧州議会議員の即時辞任を余儀なくされる見通しだ。

 ネオファシズムの流れをくむFDIは、2022年のイタリア総選挙で26%の得票率を獲得し、首位に立った。

 6月6〜9日に行われる欧州議会選挙でメローニ氏を筆頭候補にすることで、欧州連合(EU)内でも国内での高い支持率を生かしたい考えとみられている。ただし、EUの規定では、加盟国の国会議員や閣僚級以上の現職との兼職は原則的に認められていない。

 メローニ氏は、アドリア海(Adriatic Sea)に面したペスカーラ(Pescara)での党集会で、「2022年9月25日にイタリアで成し遂げたのと同じことを欧州でも目指したい。右派勢力を結集して多数派をつくり上げ、最終的に欧州でも左派を野党に追い落としたい」と訴え、欧州議会選への出馬の意向を表明。

「私は『イタリアの同胞』の党首であり、欧州政治の流れを変える重要な役割を果たそうと考える欧州保守派の指導者でもある」と、意気込みを語った。

 メローニ氏の出馬自体はEUの規定で認められているものの、政治リスクコンサルタント会社テネオ・インテリジェンス(Teneo Intelligence)のリサーチ部門責任者、ウォルファンゴ・ピッコリ(Wolfango Piccoli)氏は、「利に走った、恥知らずな選挙戦術」だと批判。

 その上で、世論調査によればメローニ氏が比例代表名簿の筆頭に擁立された場合、党の得票率が2~3%上昇する可能性があると指摘し、自身の影響力を生かして得票増を狙う動きとの見方を示した。(c)AFP