【4月28日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長が、気候変動などの脅威がある中で、五輪ムーブメントの未来はかつてなく明るいと話した。

 元フェンシング選手のバッハ会長は、五輪の開催費高騰や汚職などのスキャンダルが相次ぎ、五輪招致への関心がどん底に近い状況だった2013年にIOCの会長に就任。五輪開催の魅力が低下していたのは明らかで、2024年大会と2028年大会の立候補は仏パリと米ロサンゼルスしかなく、結局この2都市が2大会が振り分けられた。2032年大会も豪ブリスベンに決まっている。

 しかし、スイスのローザンヌ(Lausanne)にあるIOC本部でAFPの独占インタビューに応じたバッハ会長は、2036年大会の招致を目指している国は「2桁」に上ると明かし、「これほどの好ましい状況はなかった。五輪開催への関心はかつてなく高まっている」と喜んだ。

 西欧民主主義国での連続開催を経て、2036年大会は、2032年サッカーW杯(2032 World Cup)でも唯一立候補しているサウジアラビア、2032年五輪の招致を断念したカタール、あるいはインドネシアやインドに機会が回ってくる可能性がある。サウジアラビアやカタールについては、人権状況が問題視されるとみられるが、両国について問われたバッハ会長は「大会までまだ12年あり、いずれかの国の利害について言及するのは時期尚早だ」と答えた。

 バッハ会長は、五輪招致への関心が戻ってきた要因は、自身の下で行われている改革のおかげだと話している。過去には開催都市が五輪関連の浪費によって破綻の瀬戸際まで追い込まれることもあったため、現在はそうした状況に歯止めをかけるための改革が行われている。

 IOCは、大会後には無用の長物になることも多い巨大できらびやかな新スタジアムを建てるのではなく、既存の施設や仮設の設備を活用することを推奨している。7月26日に開幕するパリ五輪では、96パーセントの競技種目が既存施設や仮設会場で行われる見込みで、28年ロス五輪ではこれが100パーセントに達する可能性がある。

 その結果、パリ五輪の組織委員会は、大会の二酸化炭素排出量が2012年ロンドン五輪、2016年リオデジャネイロ五輪の約半分になると主張している。しかしシンクタンクのカーボン・マーケット・ウオッチ(Carbon Market Watch)などの批判的な団体は、改善の取り組みを称賛しつつ、五輪の持続可能性については懐疑的な姿勢を保っている。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT and Coralie FEBVRE