【4月25日 AFP】オーストリアの画家グスタフ・クリムト(Gustav Klimt)の晩年の作品で、1925年以来実物が確認されていなかった肖像画「リーザー嬢の肖像(Bildnis Fraeulein Lieser)」の競売が24日、首都ウィーンで開かれ、3000万ユーロ(約50億円)で落札された。

 落札したのは香港のギャラリー「ホームアート(HomeArt)」。来歴不明な点が指摘されていたが競売落札額としては同国史上最高を更新した。

 この未完作品は、クリムトが亡くなる直前の1917年に、裕福なユダヤ人実業家リーザー家の依頼で描かれた。1925年にウィーンの展覧会に出展されて以来、実物は確認されていなかった。

 今年に入り、ウィーンの競売会社キンスキー(Kinsky)がオークション開催を発表して公開したが、1960年代に現所有者の手に渡るまでの経緯は不明なままだった。

 キンスキーでは落札価格を3000万~5000万ユーロ(約50億~83億円)と予想していたが、来歴不明な点を疑問視する報道が買い手を及び腰にさせた。

 競売終了後、キンスキーの担当者は記者らに「ここ数週間での多数の批判的な報道」が購入希望者に不安を与えたとし、「残念」だと話した。(c)AFP/Blaise GAUQUELIN