【4月20日 AFP】イスラエルの極右イタマル・ベングビール(Itamar Ben Gvir)国家治安相が、19日にイランを震撼(しんかん)させた爆発はイスラエルが首謀したものだとほのめかしたことで、同国の戦略を損なったとして厳しい批判にさらされている。

 イラン国営メディアが同国中部イスファハン(Isfahan)州で爆発があったと伝える一方、一部の米メディアは同国当局者の話として、イスラエルがイランへの報復攻撃を実施したと報じた。

 AFPはイスラエルの軍と政府にコメントを求めたが、いずれからも回答は得られなかった。

 だが、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相率いる連立政権の一員であるベングビール氏は、ヘブライ語のスラングで「こけおどしだ!」とX(旧ツイッター)に投稿。爆発はイスラエルが裏で糸を引いたものだが、生ぬるいという趣旨のコメントを書き込んだ。

 この投稿は、ソーシャルメディアやテレビ番組でたちまち大きな反発を呼んだ。

 前首相で野党指導者のヤイル・ラピド(Yair Lapid)氏は、「閣僚が国家の安全保障、イメージ、国際的な地位をこれほどひどく損なったのは前代未聞だ」「ベングビール氏はたった一言の許し難いツイートで、イスラエルを冷笑の的とし、辱めてみせた」とXに投稿。イランから米国に至るまであらゆる国に恥をさらしたとしている。

 学者で、地政学に関するポッドキャストの司会者でもあるシャイエル・ベンエフライム(Shaiel Ben-Ephraim)氏は、ベングビール氏は「(爆発を)イスラエルによる軍事作戦だと認めた上で冷笑している」「そうすることで、イスラエルの抑止力を損ねている。閣僚として恥ずかしい限りだ」と非難した。

 イランのタスニム通信は同日、ベングビール氏の投稿をリポストした。

 一方、ネタニヤフ氏率いる与党リクードのタリー・ゴトリフ(Tally Gotliv)議員は、イランでの爆発に喝采を送り、「誇らしい朝だ」「イスラエルは強力な国だ」とXに投稿した。ゴトリフ議員は、議会外交・安全保障委員会のメンバーでもある。(c)AFP