【4月20日 AFP】夏季五輪国際競技連盟連合(ASOIF)は19日、ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)が今夏のパリ五輪で金メダリストに賞金を出すと決定したことについて、「オリンピズムの価値を損なうもの」だとする声明を出した。

 世界陸連のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は前週、パリ五輪の陸上競技で金メダルを獲得した選手に賞金5万ドル(約772万円)を贈ると表明した。国際競技団体が五輪で賞金を出すのは初めて。同陸連は、4年後のロサンゼルス五輪では賞金の対象をメダリスト全員に拡大する意向も明らかにした。

 正会員30団体および準会員2団体で構成されるASOIFは、この世界陸連の方針に明確な不満を示し、「この動きはオリンピズムの価値と大会の独自性を損なうものである。五輪の金メダルに値段はつけられず、つけるべきではない」「最終順位で下位に沈んだアスリートを軽視している」と疑問を投げかけた。

 さらに、他の五輪競技では賞金を出せない団体もあるとして、「たとえ望んだとしても、全ての競技において、この動きが可能あるいは模倣できるわけではない」と指摘した。

 その一方で、各国の国内オリンピック委員会(NOC)や政府が、「卓越したパフォーマンスを示したアスリートに報いることや、国家の誇り、そして五輪の全競技における一貫性を目的とした」計画には賛同すると補足。また、余剰金がある競技においては、五輪での収益を「発展と高潔性のために優先的に投資する」べきだとの総意があると述べた。

 世界陸連が提示した賞金総額は240万ドル(約3億7000万円)で、国際オリンピック委員会(IOC)から4年ごとに受け取る分配金から捻出する。(c)AFP