【4月16日 AFP】オーストラリアから米フロリダ半島まで世界各地のサンゴ礁が、数か月にわたる記録的な暑さで白化が進み、危機にひんしている。米海洋大気局(NOAA)が15日、衛星観測に基づき行っている熱ストレスモニタリングの結果を発表した。大規模な白化が発生するのは、ここ10年で2度目。

 NOAAのデレク・マンゼロ(Derek Manzello )氏は「世界の海の温暖化が進むにつれ、サンゴの白化はより頻繁に、より深刻になっている。深刻な白化現象が長引くとサンゴが死滅し、サンゴ礁に依存して暮らしている人々にも打撃を与える」と警告した。

 サンゴ礁の大規模な白化は、2023年初頭から米フロリダ半島、カリブ海、ブラジル、太平洋東部の熱帯、南太平洋、紅海、ペルシャ湾、オーストラリアのグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)など世界各地で確認されている。

■世紀末に絶滅?

 世界自然保護基金(WWF)によると、仕事や食生活の他、暴風雨や浸食からの海岸線保護などでサンゴ礁に依存している。また。海洋生物の4分の1以上がサンゴ礁を住みかとしている。

 NOAAは、世界のサンゴ礁の30~50%は既に失われており、大胆な介入を行わなければ、今世紀末にはサンゴ礁が完全に消滅する可能性もあると警告している。

 WWFのペペ・クラーク(Pepe Clarke)氏は「温暖化が1度進むごとに起きる危機を具体的、視覚的、現代的に示しているのがサンゴの白化だ。その規模と深刻さは、危険な気候変動が今まさに進んでいることを明確に示す証拠だ」と述べた。

 サンゴを取り巻く環境および今後の見通しは厳しいが、NOAAはサンゴの白化に対する介入策が「大きく前進」していると説明する。そうした対策には、サンゴ苗をより深く冷たい場所へ移す、サンゴを保護するために日よけを設置するといったものが含まれる。(c)AFP/Issam AHMED