【4月19日 AFP】米カリフォルニア州インディオ(Indio)の砂漠地帯で、今年も野外音楽フェスティバル「コーチェラ・バレー・ミュージック&アートフェスティバル(Coachella Valley Music & Arts Festival)」が2度の週末にわたって開催されている。デボラ・ビーガジュさんは、10年ほど前から参加しているが、夫のピオトルさんと共に最近はほとんど会場でお酒を飲まない。

「お酒を飲み過ぎると、フェスを十分に楽しめない気がした」「今年は前よりずっと楽しい。あまり飲んでいないので」と言う。

 こうした考えを持つのはビーガジュさん夫婦だけではない。最近の多数の調査結果が示しているように、ミレニアル世代とZ世代は、さまざまな理由からアルコールをあまり飲まなくなっている。二日酔いにならずに楽しい気分を味わえるノンアルコールのスピリッツやビール、ワインが手に入りやすくなったため、そうした選択も容易になった。

 ロサンゼルスを拠点とするノンアルコール飲料専門店「ザ・ニュー・バー(The New Bar)」は、昨年初めてコーチェラ・フェスと提携。主催者側にとっても初の試みとなった。

 コーチェラでは、多くの参加者がステージに隣接したキャンプサイトで夜を過ごすが、昨年は、しらふで過ごしたい人々のために、キャンプサイトに禁酒エリアが設置された。

 さらに近年では、コーチェラをはじめ、ニューヨークのガバナーズ・ボール・ミュージック・フェスティバル(Governors Ball Music Festival)の会場内に、アルコール依存症者の自助グループによる集いの場が設けられるようになった。

 ただ、砂漠の炎天下で行われるコーチェラでは脱水症状のリスクもあるため、より快適に楽しめるという単純な理由から、お酒をあまり飲まないという人ももちろんいる。

 ザ・ニュー・バーで提供される飲料は、一見するとカクテルのようだ。「ゴールデン・アワー・マーグ」という飲み物には、アルコール分を取り除いたアガベ・スピリッツに、ウチワサボテンのシロップ、ライムジュースが入っており、グラスにはマリーゴールドの花も添えられている。

 ザ・ニュー・バーの創設者、ブリアンダ・ゴンザレスさんはAFPに、「アルコールを飲んでいそうな人たちの周りでは、見た目や雰囲気が似ている飲み物を手にすることで、心理的にその空間になじみやすくなる」と話す。

 同店は、4月下旬に開催されるカントリーミュージックの祭典、ステージコーチ(Stagecoach)にも出店する予定だ。