【4月16日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領が2016年の大統領選前に不倫相手のポルノ俳優への口止め料支払いをめぐり業務記録を改ざんしたとされる事件の初公判が15日、ニューヨーク州地裁で開かれた。米国の大統領経験者が刑事責任を問われるのは初めて。

 トランプ氏陣営は公判開始直前に動画を公開。「次期大統領」は、自由を奪おうとする勢力から支持者を守るために闘う英雄だと訴えた。

 マンハッタン(Manhattan)の州地裁に到着したトランプ氏は報道陣の前で、自分は「政治的迫害」の被害者だと主張。「これは米国に対する攻撃」「政敵に対する攻撃」だと語った。

 フアン・マーチャン(Juan Merchan)判事は、入廷したトランプ氏に「おはようございます、トランプさん(Mr Trump)」と呼び掛けた。大統領経験者に対する一般的な敬称を冠した「プレジデント・トランプ(President Trump)」とは呼ばず、他の被告同様に扱う姿勢を明確にした。

 続いて、裁判を妨害した場合は法廷侮辱罪で収監され、また、今後の公判に出廷しない場合は拘束される恐れがあるといった、被告の権利に関する説明を読み上げた。

 担当弁護士によれば、トランプ氏はすべての公判への出廷を希望している。

 この歴史的な裁判では、陪審員をニューヨークで選定する難しさも示された。マンハッタンは民主党支持者が多く、トランプ氏はニューヨーク出身だが地元では評判が良くない。

 陪審員候補として最初に96人が選出されたが、そのうち少なくとも50人が「公平かつ公正な」判断を下せないと思うかとの質問に挙手し、候補から外された。(c)AFP