【1月27日 AFP】競泳の全米大学選手権でトランスジェンダー女子選手として初の優勝者となったリア・トーマス(Lia Thomas)が、パリ五輪を含む女子のエリート大会に再び出場する資格を求めて、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴していることが、26日に明らかになった。

 ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)の水泳部に所属していたトーマスは、2022年にワールドアクアティクス(World Aquatics、世界水連)が男性として思春期を過ごした場合は女子カテゴリーへの出場を禁止する新しい規則を定めて以降、競技に参加していない。

 CASは26日、「米国のトランスジェンダー選手リア・トーマスが、男女の出場資格に関する世界水連の方針の特定部分に異議を唱える目的で提出した仲裁要請の登録」を確認したと公表。トーマスは「異議を唱えている条項が違法かつ無効で、強制力や効力を持たないというCASの命令」を求めているという。

「トーマス氏は、公正な競技がスポーツの正当な目的であり、トランスジェンダー女子の水泳選手に関する一部の規定が適切であることを受け入れている」

「しかしながら、規則が五輪憲章をはじめ、世界水連の規約やスイス法に反して自分を差別しているとして、無効かつ違法であるとの異議申し立てを行った」

 世界水連は2年前、トランスジェンダーの女子選手が女子のエリート大会に出場するのを禁止することを決議した。

 米国水泳連盟(USA Swimming)も2022年2月のルール改定で、エリートレベルの大会に出場することを希望するトランスジェンダー選手に対し、少なくとも36か月間にわたるテストステロン値の制限を決めた。

 しかし、そのわずか1か月後、全米大学体育協会(NCAA)ディビジョン1の選手権において、トーマスが女子500ヤード自由形で優勝。NCAAが米国水泳連盟の新規則を拒否したことで実現した歴史的勝利だった。

 世界水連は同年6月、トランスジェンダー選手のためのオープンカテゴリーを創設する意向を示したが、そのエントリー資格は「思春期の前に女性になった」選手に限定された。(c)AFP