【8月26日 AFP】フランスで「ヒートドーム」現象が発生し、一部地域で気温が40度を超える中、ワインの産地南西部ボルドー(Bordeaux)でブドウの収穫が行われている。

 サンカンタンドバロン(Saint-Quentin-de-Baron)では、ワイン醸造業者が記録的な猛暑を考慮し、ブドウを収穫する従来の段取りを変更した。

「シャトー・ド・スール(Chateau de Sours)」の責任者、セバスチャン・ジャッキー(Sebastien Jacquey)氏はAFPに対し、労働時間を1日8時間から6時間に短縮し、風が吹かない午後の猛暑と湿度を避けるため、収穫作業は午前7時から始めていると話した。

 ここのオーナーは、中国電子商取引大手アリババ(Alibaba、阿里巴巴)の創業者、馬雲(ジャック・マー、Jack Ma)氏だ。

 ジャッキー氏は熱中症対策について、「1列分の収穫が終わったら必ず休憩を取り、常に水分補給して、帽子や日焼け止めクリームで身を守り、気分が悪くなったら誰かに知らせること」だと説明した。

 母親と一緒に初めてブドウの収穫作業に参加したという女性(35)は、こうした方針を心掛け、こまめに水を飲んでいたにもかかわらず、熱中症になってしまったと話す。

「動悸(どうき)が激しくなって、めまいと耳鳴り、悪寒がし始めた」と言う。

 同じくブドウの収穫作業をしていた男性(42)は、重要なのは木陰で作業することだと語った。

「息苦しくなってきたら、それだけ暑くなり、危険が増す」と話した。

■熱波がプラスに働く可能性も

 仏気象局(Meteo-France)によると、現在の熱波は猛烈で長期に及び、特に通常よりも遅い時期に発生している。安定した高気圧によって全国的にヒートドームが形成されており、風がほとんど吹かないとしている。

 ワイン用のブドウを収穫する人にとって熱波は過酷だが、醸造業者にとっては良い点もある。

 ボルドー地方では今年、うどんこ病の深刻な被害が広がっているが、ブドウの実の成熟過程の終わりに熱波が続いたことがプラスに働く可能性がある。

 ワイン醸造業者団体「ボルドー・エ・ボルドー・シュペリウール(Bordeaux et Bordeaux Superieur)」のステファン・ガバール(Stephane Gabard)代表は、熱波によって「(ブドウの実の)腐敗が止まり、乾燥によりあらゆる病気も絶たれるので、それほど悪いことではない」と話す。

 ブドウの収穫時期は、国内各地で異なり、ブドウの種類、その土地の気象条件、醸造家が求めるワインの風味やアルコール度数で決まる。南部のブドウ園では通常、8月に収穫が始まり、10月に終わるが、気候変動の影響で、開始時期は年々前倒しになってきている。(c)AFP/Jean DECOTTE with Adam PLOWRIGHT in Paris